宛先は天国ですか?

2.





はぁ、とまた一つぽつりとため息をこぼす。

あれから聖也とはなんとか距離を空けずにやってこれてはいる。

というのも、聖也の方が気まずさなんて感じていないみたいで、普通に話しかけてくる。

気まずいと感じているのはわたしだけみたいで、だからわたしも普通に接する他なかった。

いや、距離をあけられなかったのは本当に助かった。

璃子とも環奈ちゃんともうまく話せないままの今、聖也まで離れていったら1人になってしまうから。


でも、それだから余計に隠していることがなんだか申し訳なくなる。

本日何度目かのため息をこぼす。

10月の終わり頃、晴れてる日はぽかぽかと暖かいくせに、雨が降れば一気に冷える。

今日は晴れているから、そんなに寒くはないけれど、それでも風が少し冷たい。


「お待たせしました」

不意に上から降ってきた声に、わたしはぱっと顔を上げた。

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