宛先は天国ですか?

3.





聖也が行動に出たのは、そのすぐ翌日のことだった。


放課後、今日は聖也を置いていかないようにと、教室を見渡す。

見つけた瞬間、パチリと目が合い、それから聖也が手招きをした。

わたしは少し不思議に思いながら、首を傾げて、荷物を持って聖也の方に行った。


「どうかした?」

早く帰ろうの意味を込めて尋ねると、聖也は不意にわたしの腕を掴んだ。

それから、

「…職員室よるの、ついてきて」

そう言って聖也も荷物を持ち、わたしの手を引いた。


男子が少なくて、ほとんど男女の区別も何もない学校。

とはいえ、そりゃあ男女が手を繋いでいたら気になるわけで。

同級生からより、上級生からの視線がチクチク痛い。

睨むわけでもなんでもないのだが、微笑ましそうにしている視線が、なにげに痛い。

…手を繋いでいる意味はあるのかと、何度か振り払おうとする。

しかしうまくいかず、ギュッと掴まれたままだった。

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