宛先は天国ですか?

1.





鏡の前、1回転をしてから大きく深呼吸をする。

「…変じゃない、よね」

結んだ髪をなでながら、独り言をぽつりとこぼした。


将太さんと会う約束をした日はあっという間にやってきた。

その間になんとか実技の再テストを終え、とりあえず一安心。


…それに関しては一安心なんだけど、今日会うということは。


将太さんの誕生日に会ったとき、想いを告げたまま逃げてしまったから。

今日はその、答えを聞くことになるのだろう。


「あー、わざわざ振られにいくようなものだよね…」

ため息をついてから、準備を整えて家を出る。

それから、将太さんといつも待ち合わせている場所へと急いだ。


頬をかすめる風が、ひんやりと冷たかった。

もうすっかり、冬日和。

そろそろ冬休みである。

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