宛先は天国ですか?

3.





あれからわずか、2日後、6日の朝のことだった。

新聞を取りに郵便受けに行くと、新聞だけではなく手紙が入っていた。

ダイレクトメールだとか、そういう類ならよくあることだが、珍しく普通の封筒である。


わたしは不思議に思いながら、新聞とその手紙を手に取った。

可愛らしい封筒の表にはわたしの名前と住所が書いてある。

ひょいっと裏を向けて、そこに書いてある名前と住所にわたしは目を見開いた。


「…がんセンター、早野 夏帆…?」

送り手の住所のところには県内にあるがんセンターの名前が書いてある。

そこから来た、いきなり休業してしまった早野先生からの手紙。

嫌な予感に、わたしは新聞を玄関に放り捨てると、慌てて部屋へと駆け込んだ。


それから、手紙を開く。

『暖々ちゃんへ

私の大切な生徒たちの中で、最後にあなたにこの手紙を送ります。

みんなによろしくね。』

初めには、そんなことが書かれていた。

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