宛先は天国ですか?



途端に襲う嫌な予感に、わたしはゴクンと唾を飲んだ。

「大変、お伝えしにくいのですが…」

なんとか伝えようと必死になる看護師さんを見て、わたしは察してしまった。


「早野様は、数日前に亡くなられまして…」

看護師さんの言葉に、わたしの視界がじわっと滲む感じがした。

慌てて目をこすってなんとか涙をこらえながら、

「…そう、だったんですか」

看護師さんに返事をする。

すみません、と頭を下げて戻っていった看護師さんの背中を見つめ、わたしはそっとため息をこぼした。


…まさか、と思ったけれど、そんなわけないと信じていた。

まさか、本当に、そんな、早野先生が…?

いつも明るく笑っていた早野先生しか知らないから、余計に実感がなかった。

看護師さんの話はにわかには信じがたくて、でも看護師さんが嘘をついているわけないのはわかっているから。

わたしは、どうすればいいのか分からないまま、とりあえず病院をあとにした。


これから、どこに行こうか。

どうしようか。

将太さんには内緒にしろなんていうけれど、内緒にしてて、いいことなのか。

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