宛先は天国ですか?



考え事をしていると、環奈ちゃんが「暖々ちゃんは?」と首を傾げてきた。

「あー、わたしは、看技かな…。

夏休み前の範囲に入ると思って勉強進めてたから、範囲終わりそうになくて」

正直にそう言うと、環奈ちゃんは残念と肩を落とした。


…看技もとい基礎看護技術は、どうやら期末後から夏休み前のものは範囲外らしかった。

人体もそうらしく、今回は範囲外の勉強から進めていたためピンチである。


「どうしよう、あたし、日曜日に用事入れちゃったんだよな…」

馬鹿だなぁ、と嘲笑した璃子は、手に持っていたスマホの電源を入れた。

「日曜日?どんな?」

興味津々に尋ねてくる環奈ちゃんに、璃子がスマホの画面を見せた。

そこには、璃子が好きだと言っていた人とのトーク履歴があった。

読んでいくと、どうやら日曜日に会おうという話をしているらしい。

なんか、付き合うとも。

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