秋の空と女子高生

僕は皮の手袋を着け作業着の下の腰のコルセットを閉め直した。


四十代後半身体はボロボロかもしれないがまだやれる。


作業着をきちんとして長靴をゆっくり履いた。


コンクリートの土間の上で何度か足踏みして長靴に付いた乾いた泥を落とした。


僕はヘルメットを取ると被り顎紐をきちんとかける。


プレハブの休憩所を出ながら空を見たら鱗雲が浮いていた。


秋だなと思う。


僕は建設現場に足を運びながらふと来る時に見た女子高生を思い出した。


あのままキラキラしたままでは居られないだろうが、二人がこの先上手く行けば良いなと思う。


僕は皮の手袋を握ったり閉じたりしながら空を見た。


キラキラはもうしてないかも知れないが身体に充実感が湧いてきた。


何度も見た鱗雲が特に今日は美しく見えた。



僕は試しに彼女達のように笑って見ようとしたがそれは苦笑いになった。


長靴と地面の感触を確かめながらゆっくり歩いた。



キラキラは無理でもギラギラにはまだなれるなと心の底で思う。


女子校生に対抗しようとしてる自分自身が居るのに少し驚いた。


拳をボクサーのように思い切り前に出す。


秋の風を切る音がした。













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