サヨナラの行方
2nd*甘い夢の記憶



7年前、私はこの会社に入社した。

その時上司だったのが、当時主任だった8歳年上の和泉課長だ。

当時の私は、本当に仕事が出来なくて周りに迷惑をかけっぱなしだった。

短大を卒業してから社会人になったのに、ほとんど一般常識も分からないぐらいだった。

短大時代、バイトもせず遊んでばかりいたせいだろうか。


それでも、主任は優しかった。

仕事も出来て、本当に頼れる人だった。



「まーた、派手に怒られたな」



怒られた時、決まって主任は声をかけてくれた。

主任も一緒に怒られているのに。



「すみません。主任にも迷惑かけちゃって……」


「迷惑だなんて思っていないよ。上司である俺のせいでもあるし」



そう言って、当たり前のように頭をポンポンとしてくる。

その自然な仕草に、嫌らしさは一つもない。




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