サヨナラの行方
彼女のことで知っているのは、美人な容姿と料理が出来ないこと、べったりしてくることだけ。
悠月との件で、意外に気が強く行動派だと知ったぐらいだ。
俺が今知っている情報では、好きになる要素は一切ない。
利用さえ出来れば、好きになる必要などなかったのだけれど。
だいたい、彼女だって俺の何を見て好きだと言うのだろう。
俺は、何も見せていないのに。
「好きじゃなくてもいいですから、離婚はしたくないです」
それって、結婚している意味があるのだろうか。
結婚という事実で繋がっていれば満足なのだろうか。
好きでもない、利用価値もなくなった今では、結婚しているメリットもない。
「どういう考えか知らないけど、それなら別居するから。一緒にいるのが苦痛なんだから」