サヨナラの行方
結局、抵抗も出来ずに溺れてしまう。
それからは、平日だろうが休日だろうが、泊まることが多くなった。
ちょっとした着替えも、ここに置くようになった。
私は、彼女じゃないのに。
このままでいい訳がないのに。
何も考えられなくなってしまう。
奥さんに悪いと思いながらも、ずっとこのままでいられたら、なんて思ってしまう。
そんなの、世間が許す訳ない。
だけど、誰にもバレずにこのままで……。
そう夢を見ていても、終わりは訪れてしまうもの。
こんな偽物の幸せ、長くは続かない。
それも、最悪な形で終わりを告げるんだ。
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「やっと見つけた」
悠月が住んでいるマンションを見上げる1人の女性。
「人のモノを取ったんだから、それ相応の対処をしないとね」
くすりと笑った彼女の手には、1枚の写真が握られていた。