全力片思い
「あっ! やっと起きてきたわね。お母さん、仕事行くからあとはよろしくね」

「うん、いってらっしゃい」

朝食のことや戸締りのことを再三言われ、家を出ていった。


お父さんは既に出勤しており、家には誰もいない。

両親ともに共働きで、ふたりとも朝は早い。

その分夕食は家族で取ろうと、ふたりとも定時で上がってきてくれる。

朝食がひとりなのは今に始まったことではない。むしろこれが私にとって日常。


席に座り、用意されていたトーストを一口かじる。

お母さんがつけたままのテレビからは、陽気な音楽と共に今日の占いコーナーが始まっていた。

いつも楽しみに見ていた占いも今日は見る気が失せる。


「早く食べていかないと……」

昨日のことがあり、本当は学校休みたい。

けれど昨日の今日で学校休んだら、柳瀬に変に思われてしまいそうだし。


無理やり朝食を胃に流し込み、戸締りを済ませ家を後にした。


自宅から高校までは徒歩と電車で三十分。

最寄駅まで徒歩で向かい電車に乗り、三駅で高校の最寄り駅に到着する。

光莉とはいつも乗って一駅目の駅で合流し、一緒に学校へ向かっている。
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