全力片思い
声を荒げると、柳瀬は面白くなさそうに可愛く頬を膨らませた。


「昔を思い出していたんだよ。……皆森は覚えていないかもしれねぇけど、中三のときもこうやってふたりで黒板消しながら、お互いのことけなし合っていたなって」

「……え」


意外な話に柳瀬をガン見してしまう。


「そう思うとすげぇな、高校でも同じクラスになって一緒に週番するとか。よっぽど俺たちは悪友として繋がられているのかもしれないな」

白い歯を覗かせて笑う柳瀬に胸がギュッと締め付けられた。


なにが悪友よ。

人の気持ちも知らないで――……!

黒板消しを持つ手が強まる。


「それは嫌な繋がりだね」

「なにをぉ!? そこは素直に肯定する場面だろうが!」

素気ないフリすれば予想通りの反応が返ってくる。


だから嫌だ。

これだからなかなか好きって気持ちを消せないんだ。

「悪友って言葉のチョイスがおかしいでしょ? ……そこは“親友”にしなさいよね」
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