全力片思い
ごめんね、光莉。
光莉はなにも悪くないのに。
明日までには気持ちの整理をつけておくから。


心の中で謝り、定期を取り出して改札口を抜けていった。


高校がある最寄り駅に到着すると、電車から降りてくるのは同じ制服を纏った人ばかり。

人の流されるように階段を下り、改札口を抜けて行く。

学校は最寄駅から歩いて十分の距離にある。


毎朝電車の中から光莉と他愛ない話をしながら向かっている。

けれど今日はひとりで誰も話し相手がいない。


ひとりで通学するって、こんなにつまらなかったんだ。

思えば光莉が学校を休むのは珍しい。


滅多に風邪引かないのに、大丈夫かな?

心配になり、もう一度ラインしようとバッグからスマホを取り出そうと立ち止まったとき。


「邪魔だぞー、皆森!」

「痛っ!?」

背後から頭をコツンとされ、声を上げてしまった。
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