全力片思い
柳瀬とは一年のときから同じクラスだった笹沼くん。
そこでふたりは意気投合したらしい。


私は二年生になって初めて同じクラスになった。

柳瀬とは仲が良いし、光莉の幼なじみってこともあって、一緒に過ごす時間は多い。


けれど私と笹沼くんは挨拶を交わす程度だ。

光莉や柳瀬の隣にいるだけで、私はカレと一度も会話をしたことがない。


そもそも話す話題もないし、なにより一緒にいると威圧的な目で見られている気がするんだよね。

「お前、邪魔なんだよ」って言っているような目で。


確証はないし、私の勝手な思い込みかもしれないけれど……笹沼くんに私は嫌われている気がしてならない。


昇降口に辿り着いたところで足を止めると息は上がっており、大きく肩を上下させた。


朝から気分最悪だ。

なにも事情を知らない光莉に勝手に嫉妬して、柳瀬の言動に一喜一憂して。……あからさまに笹沼くんから逃げてきちゃったし。


上靴に履き替え、トボトボとした足取りで教室へと向かっていく。
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