全力片思い
真剣な想いを聞いて、もう疑う余地などなかった。


最初は信じられなかった。でも嘘じゃないんだよね? 私が柳瀬のことを想っていたように、笹沼くんも私のことを想ってくれていたなんて――。


戸惑いと驚きを隠せない。


けれどなぜだろう。
笹沼くんに告白されて、嬉しいと思っている自分もいる。


だって笹沼くんがどんな人か、この数ヵ月で充分知ることができたから。


「まずは友達から始めてくれないかな? そうしたら俺、全力で皆森さんに好きって伝えるから」

「笹沼くん……」


躊躇いがちに差し出された手。

「お願いします」


柳瀬が好き。

それは今も変わらない。でも、私……。


差し出されたままの手は微かに震えている。

その手を握らない選択肢など、私にはなかった。
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