全力片思い
『まぁ、後ろの席が萌ならいっか。毎日楽しそうだしね』

「……うん」

私だって柳瀬の気持ちを知らなければ、光莉と同じ気持ちだったよ。

前の席が光莉と柳瀬なんて最高だもの。


それなのにごめんね。
私は不安でいっぱいなの。

柳瀬と光莉の距離が縮まってしまいそうで。……光莉も柳瀬のことを好きになってしまいそうで。


『じゃあ頑張って明日で風邪治して、明後日には学校行けるように頑張るね』

「待っているよ、お大事にね」

『電話ありがとう、おやすみ』


電話を切った直後、大きく息を吐きながらそのまま仰向けに倒れた。

スマホを片手に腕で目を覆う。


「私……嫌な奴すぎる」

光莉はなにも知らない。

私の気持ちも柳瀬の気持ちも。

それなのに勝手に嫉妬して、親友なのに最低なこと考えて……。

光莉は良い子だ。
同い年で親友。……だけど私は彼女のことを尊敬している。
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