たったひとつの恋をください




七月七日。私の十七回目の誕生日は、朝から晩まで、雨が降りそうで降らないような、微妙な曇り空だった。


天の川って本当に見えるんだろうか、って毎年疑問に思う。


晴れた日には、空いっぱいに広がる満点の星が見えるなんて言うけど、少なくとも私は、生まれてから今まで一度も、そんなの見たことがない。


というか星なんて、特に興味もないんだけど。


なのにそんなことを気にしてしまうのは、この日が私の誕生日で、だからといって毎年特別なことは何もなくて、くだらないことをつい考えてしまうくらいに暇を持て余しているから。


空を見上げても何もなくて、湿気の多い空気がじめじめと嫌な感じに体にまとわりつく。


どう考えたって散歩には向いてない夜を一人で歩いているのは、夕ご飯を買いに行くためで、私の足はまっすぐに目当てのスーパーに向かっていたーーはずだった。







< 2 / 377 >

この作品をシェア

pagetop