恋して愛して



そう言われたのは、初めてだった。

いつも、クラスの男の子にさん付けで呼んでも、何も言わないのに。

さん付けを指摘されたのが、新鮮だった。

「で、でも。なんて呼んだら?」

「んなの、自分で考えろ」

そう言って、リビングのソファに座る藤崎さん。

さん付けがダメなら、君付けしかないよね。

「恭介君、じゃだめかな?」

「さぁな」

さぁなと言った、恭介君の表情は嫌そうなじゃなかった。

逆に、なんか笑ってる気がする。

…もしかして、恭介君っていい人?
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