甘めな毒
Salty tear



「あっ、ダメ、そこ」
「………」
「ひゃっ!んん、もう……ムリ」
「………」


 デデデデデデデン。


「ぎゃー!また負けた!」
「……へたくそ」
「うう、くっそー……」


 天気も上々の昼休み、屋上の片隅でゲーム機と睨み合う私を梶くんは呆れ顔で一瞥した。
 その片手にはこれ見よがしに美味しそうな香りをさせるコロッケパン。無意識に食欲がそそられて私のお腹がキュルキュルと音を立てた。


「一旦中断して昼飯食べたら?」
「うん、そうしようかな」


 梶くんから借りたゲーム機を地面に置いてお弁当を広げる。天気の良い日に外で食べるお弁当は気持ちが良くて気に入っている。
 今までは中島やクラスの子達と食べていた。もちろんそれも嫌いじゃなかったけど、こうして梶くんと一緒に昼休みを過ごすようになってから、何だかとても気楽になったような気がする。


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