Princess
寂しいなら、あたしをお嫁に出さなければいいのに…。

でもそんなことを言ったら、会社を潰せと言っているようなものである。

「本当に、悪かったと思っているんだ。

会社のためとは言え、お金のためとは言え、手塩にかけて育てた娘につらい思いをさせることは本当に申し訳ないと思ってる」

「うん…」

そう言ったお父さんに、あたしは呟くように返事をすることしかできなかった。

「ほのかちゃん」

お母さんがあたしの名前を呼んだ。

「つらいかも知れないけど、幸せになってね」

そう言ったお母さんに、
「わかってるよ…」

あたしは呟くように答えた。
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