黒い湖
1章 おわりはじまり
私はまた、同じ場所に立っている。
17年間生きてきて何度ここに戻ってきただろうか。「初心忘れるべからず」と自分より高い位置にいる大人はそういうけれど私の場合、ここは初心と呼べる場所ではなく自分の中に作ってしまった大きな黒い湖のような、汚い感情のゴミ箱のようなところだ。

現世は12月。寒さも本物になってきた季節に、彼と出会った。
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