クールな公爵様のゆゆしき恋情

「アレクセイ様、お待たせ致しました」

応接間のソファーにゆったりとした態度で座っていたアレクセイ様は、光沢の有る紺の正装姿でした。

瞳の色に合わせた様なその衣装は、アレクセイ様の豪奢な金髪を引き立て、とても華やかです。思わず目を奪われ立ち尽くした私は、アレクセイ様の掠れた声で我に返りました。

「ラウラ凄く綺麗だ」
「えっ?!」

アレクセイ様に、正装姿を褒められたのは初めてです。

私が戸惑っている間に、アレクセイ様は椅子から立ち上がり、足早に私の元へとやって来ました。


アレクセイ様は目の前に立つと、私の全身を確認する様にしばらく眺めてから言いました。

「青いドレスがとても良く似合っている」

アレクセイ様はそう言いながら、私の頬に手を伸ばします。思わずびくりとした私を熱っぽい目で見つめたまま、アレクセイ様は手を滑らせ私の首元にそっと触れました。

「サファイアの首飾りも良く似合うな」
「あ、あの……」

アレクセイ様が触れているのはネックレスなのですが、それでも緊張を抑えられません。

アレクセイ様との距離が必要以上に近い気がしますし、私を見つめるアレクセイ様の目が私の感情をゆさぶります。

昨日あんな事が有ったせいでしょうか。ただ会話をしているだけなのに、私達の間に流れる空気は今までのものと違っている気がするのです。
アレクセイ様の言動が、今だかつて無い程甘やかなのです。
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