クールな公爵様のゆゆしき恋情
アンネにドレスを脱ぐのを手伝って貰い、湯浴みをすると、直ぐにベッドに入りました。

本当に気分が悪かったのです。

頭がクラクラして、胸がムカムカします。

これからの事なんて考えている余裕は有りませんでした。

今はただ眠りたい。

眠って身体中を巡る痛みから解放されたい。
ただ、それだけでした。



◇◇◇

八年ぶりの王都は、何もかもが新鮮に映りました。

華やかな街並み。アトレゼの街の倍も居そうな大勢の人達。

白亜に輝くベルハイム城は、とても美しく物語の世界のお城のようです。


煌びやかな王宮の応接間で、私はお父様と一緒にアレクセイ様がいらっしゃるのを待っていました。

どれくらい待ったでしょうか。
応接間の扉が開き、アレクセイ様が漸く姿を現しました。

「アレクセイ様!」

アレクセイ様との再会を待ちわびていた私は、我慢出来ずに椅子から立ち上がり駆け寄りました。アレクセイ様に手を伸ばします。

その時の私は、アレクセイ様今までの様に受け入れてくると疑ってもいなかったのです。

ですが、アレクセイ様は私に触れられない様に身体を引き、見た事も無い冷たい目をした言ったのです。

「こういう行動はもう止めろ。ラウラはもう子供じゃないだろ」
「え……」

アレクセイ様の言葉とは思えずにあっけに取られる私の前で、お父様とアレクセイ様の会話が始まりました。

一年ぶりの再会なのに、私の事は少しも見てくれません。

私はアレクセイ様の婚約者では無いのでしょうか?
どうして近寄ってはいけないのでしょうか?

アレクセイ様からの初めての拒絶に私は深く傷付いたのです。

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