クールな公爵様のゆゆしき恋情
すれ違っていた時間を埋める様に、散々泣いて抱き締め合って、沢山のキスを交わしました。

アレクセイ様への想いを伝えたくて、アレクセイ様からの想いを感じたくて。

もう一時だって離れたくない。そんな気持ちでいっぱいでした。

「ラウラ」

私の頬に触れるアレクセイ様はとても幸せそうに見えます。
豪奢な金の髪の間からのぞく深い青の瞳は、何時もよりもずっと甘く、私をときめかせます。

「アレクセイ様……大好き」

自然と言葉が出て来ます。恥ずかしいとは思いません。今まで言えなかった反動が来たかの様に伝えたくてたまらないのです。

「ラウラ……ずっとこのままでいたい」

アレクセイ様が甘く囁きます。

「離したくない」

すっかり惚けてしまった私に、アレクセイ様が顔を寄せて来ます。
目を閉じ受け入れようとしたその時、カサリと芝を踏む音が聞こえました。

私が驚き目を開いたのと同時に、アレクセイ様が離れて行きます。

「時間切れか」

アレクセイ様が小さく呟きました。

「時間切れ?」

アレクセイ様と同じ言葉を呟き、辺りを見回した私は、少し離れた所にいるリュシオンの姿を見つけました。

「リュシオン? どうしてここに?」

いつここに来たのでしょうか?
アレクセイ様と抱き合っている所を見られてしまったのでしょうか。

慌てる私に近づきながらリュシオンが答えます。

「お迎えに上がりました」

そう言えばリュシオンは、後で迎えに来ると言っていました。改めて周囲を見ると、もう夕日が沈む頃合いでした。
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