クールな公爵様のゆゆしき恋情
既に部屋の用意がされていたようで、最上階に有る広い部屋に案内をされました。

居間と寝室が別の造りで、宿屋にしては内装に凝った贅沢な部屋です。きっとお兄様が長旅で疲れたエステルの為にと、この宿で一番良い部屋を手配したのでしょう。

「長旅で疲れただろ? まずはお茶でも飲めよ」

宿屋のご主人が用意してくれた温かいお茶を、お兄様はがぶりと一口で飲み干しました。
凄い勢いです。

フーフーとお茶の熱を冷ましていた私にお兄様が言いました。

「それで、何でアンテスに帰って来たんだよ」

「理由についてもお父様から説明があるかと思いますが、アレクセイ様と婚約解消したからです」

お兄様は驚愕の顔になりました。

「は? 何でだよ? アレクとラウラの婚約が俺達の結婚で影響受けない様にって、俺は有り得ない程の苦労をして話をまとめたんだぞ? それが突然の婚約解消って何だよ!」

お兄様はエステルと同じ事を気にしています。どうやらお兄様も私とアレクセイ様の関係を理解していないようです。

「婚約解消は私の意志です。お父様も承知して下さって国王陛下にお話して下さったのです。陛下から許可が降りて、正式に婚約解消になりました」
< 21 / 196 >

この作品をシェア

pagetop