クールな公爵様のゆゆしき恋情
それがどれくらいの時間だったのかは分かりません。
ですがアレクセイ様に解放された時、私はまるで熱病に掛かった様に、フラフラでその場に倒れてしまいそうになっていました。
アレクセイ様が支えてくれたので実際には倒れませんでしたが、とても一人で歩ける状態ではなかったのです。
かと言ってまともにアレクセイ様の顔を見る事も出来ませんから、俯き貝の様に口を閉ざしていると、アレクセイ様の掠れた声が聞こえて来ました。
「ラウラ」
恐る恐る視線を上げます。直ぐにアレクセイ様と視線が重なり、私は慌てて目を逸らしました。顔に熱が集まっているのを感じます。きっと真っ赤になっているのでしょう。
でもあんな事の後に平常心で居られる訳がないと思います。
今の私はあまりに無防備で、アレクセイ様に虚勢を張る事など出来ません。
「どうしてこんな事を……」
そう口にすると涙が溢れて来ました。あまりに頭の中が混乱してしまっていたのです。
「ラウラ」
アレクセイ様の手が伸びて来て、私の涙を拭います。私はそれを避ける気にもなれずされるがままに任せ、アレクセイ様を見つめていました。