エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
このハルヒコ様の娘で、奥様を亡くしたのが七年前なら、10歳くらいのはずだ。

「……はい。仲良くなれるようにがんばります、旦那様」

頷いた私を見て、ハルヒコ様はほっとしたように笑った。

この人は本当に、娘を愛しているんだな、と思う。

親子の間の、無償の愛。

そういうものを、当たり前に与えることができる親と、与えてもらうことができる娘。

この人たちは、そういう人たち。

マジュは私が失ったものを、当然のように持っている。

でも、うらやましいとは思わない。

私はもう、愛なんて欲しいとは思っていないから。


『花の庭』を出たあの日に、もう欲しがらないと、決めてしまったから。

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