溺愛〜ラビリンス〜

「うん……えっと、水族館とかどうかな?」


「水族館に行きたいのか?柚が行きたいなら俺は良いぞ。」


「本当?実はね…ずっと行ってみたかったの。」


「そうか。なら水族館に決定だな。」


「うん!」


ゆうくんは私の意見を取り入れてくれて嬉しそうに私の頭を撫でた。


楽しみだな……クラスの子達が隣町にある一昨年できた水族館の話しをして盛り上がっているのを聞いて羨ましくて、行ってみたいってずっと思っていたから夢が叶った。

すっごく嬉しいよ!この前の遊園地も楽しかったし行きたい場所だったけど、水族館に行ける事になって私のワクワクはマックスになっていた。


「ゆうくん楽しみにしてるね。」


「あぁ…」


話しをしていると爽くんの声が聞こえてくる。


「ユズユズ迎えに来たよ!……黒王子、うちの姫に何の用?」


明るく私に声をかけてきたかと思うと、すぐにゆうくんへと視線を移し敵意の籠った声で問いかけた。


「チッ」


ゆうくんは舌打ちをすると、爽くんの事を無視して私に話しかける。


「柚じゃあな?」


そう言うと教室から出て行った。




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