溺愛〜ラビリンス〜

三浦 柚姫 side


お母さんと翔兄ぃに見送られ、ゆうくんと家を出た。


ゆうくんの家の車に乗ると、いきなり運転席から大きな声で挨拶される。

「お早うございます!今日運転させて頂きます森です!よろしくお願いします!!」


凄い勢いで挨拶されてビックリしてしまい固まっていると、隣に座ったゆうくんが運転手の森さんに低い声で怒った。


「おい、柚が怖がってる。もっと小さい声で喋れ。」


「あっ、はい。すみません。姫さんもすみません。」


姫さん?私の事?


「あっ…いえ……あの…よろしくお願いします。あの…私、名前柚姫って言います。」


私が頭を下げると森さんは慌てて両手を前に出し、頭と一緒に思いっきり振る。


「姫さんの名前は知ってますが呼ぶのは恐れ多いので、そう呼ばせてもらいます。どうか俺なんかに頭下げないでください。」


恐縮している森さんに、何で?と疑問でいっぱいになる。だって運転してもらうんだよ?私の方がお世話になるのに、森さんに頭下げてもらうのはおかしいよ!

私が納得いかずにゆうくんに視線を向ければ、ゆうくんはすべて分かっているようで私には何も言わず森さんに声をかける。





< 440 / 671 >

この作品をシェア

pagetop