溺愛〜ラビリンス〜

折原 渉 side


今日は柚ちゃんと悠斗のデートの日だ。
ここ数日心ここに在らずで機嫌の悪い翔真に、俺達は何もしてあげられず気のきいた言葉もかけられなかった。

そんな状況で今日を迎えて、みんな落ち着かない気持ちは一緒だった。だから凌が口火を切って俺達だけで久し振りに走ろうという事になった。
みんな賛同してすぐに翔真に連絡を入れる。


「……はい。」


「翔真?」


「あぁ…」


機嫌の悪そうな声で電話に出た翔真は、やはり今日は1人にしない方が良いと思う位いつもの冷静な翔真じゃなかった。


「……翔真今、凌や健人と一緒にいるんだ。たまには俺達だけで走らないか?」


「そうだな……良いかもな。」


翔真の声が少し柔らかくなる。


「そっか…じゃ、一時間後ルイーザに集合で。」


「あぁ……渉、サンキュー。凌達にも伝えてくれ。」


「…分かった。」


通話を終えると、みんなの視線が集中していて翔真の返事を待っている。


「行くって……」


みんながホッとしている。待ち合わせのルイーザにみんなで移動して翔真を待った。





< 477 / 671 >

この作品をシェア

pagetop