ツンデレ社長の甘い求愛
後悔してほしくない
次の日の朝、八時五十分。

十分前に身支度を整えロビーに下りていくと、すでにそこにはソファに腰掛け足を組みながら新聞を読んでいる社長がいた。


ただ新聞を読んでいるだけだというのに、私の目にはカッコよさが二倍増しで映ってしまい、朝から胸キュンしてしまう。


今までは彼女がいる人としか見られなかったからだろうか。

彼女がいないと知り、フィルターが外れてしまったようにいつもよりカッコよく見せてしまうのは。


しかも新聞を読む姿とか、ちょっとレア感がある。

できるものなら、スマホで写真を撮って待ち受けにしたいくらいだ。


そんなよからぬことを考えながら見つめてしまっていると、当然視線を感じた社長に気づかれてしまった。


目が合いドキッとしたのも束の間、私の姿を確認すると社長は新聞を折りたたみ、こちらにやって来る。


いや、九時に待ち合わせしていたし、今日もこれから色々と回るんだから、こちらに向かってくるのは当たり前だけど! でも無駄にドキドキしてしまう。


「おはよう、昨夜はよく眠れたか?」


私のドキドキ事情など知る由もない社長は普段通りに話しかけてきた。

なら私も平常心、平常心!!


「おはようございます。はい、おかげさまで。昨夜は社長に移動していただいてしまい、申し訳ありませんでした」

「アホ、一々そんなことで謝るな」
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