極上な御曹司にとろ甘に愛されています
それに、恭介に自分の気持ちを悟られるな。

「熱もないみたいだし本当に良かった」

私は微笑み返すと、恭介の腕から抜け出そうとした。

彼の存在に慣れてはいけない。

「あの……何か飲み物取ってきます」

恭介から逃げ出そうとすれば止められた。

「ダメだよ」

声は優しいが、恭介は私の腰に腕を回して離してくれない。

「でも……喉乾きませんか?」

ここでずっとふたりでいるのはマズイと思い、恭介を説得しようとするが彼は譲らなかった。

「飲み物はいいから、萌にいて欲しい」

恭介は低音ボイスで囁くと、私を抱き寄せた。

……そんな風に言われては何も言えない。

どうしよう?

事態は悪化している。

この状況では何をやっても逃げられないじゃないの?

もう一回寝てくれないだろうか?

私が固まりながら思案していると、恭介が私の顎を掴んで不機嫌な顔で言った。
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