Open Heart〜密やかに たおやかに〜

シュウちゃんは、人がくる気配がないのを確信しているのか、はたまたそんな事は全く考えていないように話を続けた。

「今まで我慢させてゴメンな。親父に俺たちの結婚は絶対に譲れない、認めてくれと話をするよ。ダメなら……」

真剣なシュウちゃんのブラウンの瞳を見つめた。ゴクリとたまごサンドを飲み込む。

「樹里との仲を社内にも外部にもオープンにして、俺たちは婚約しているとみんなに知ってもらおう」
シュウちゃんは、私の手を引き寄せ、ぎゅっと握りしめた。

「シュウちゃんは、それでいいの?」

「もちろん、俺は樹里がいない人生なんて考えたことないから。樹里、俺たち必ず結婚しよう」

「……」
言葉がでてこないまま、私はシュウちゃんの瞳を見つめた。

綺麗な瞳を見てると、吸い込まれそうになる。

また、プロポーズをされた気分にもなってポーとしてシュウちゃんを見つめた。

「おはようございます」
フロアに人が入ってきて、私は慌ててシュウちゃんの手から離れた。

椅子から立ち上がりシュウちゃんは「おはようございます」と返事をしている。

ドキドキしていた。
シュウちゃんは言ってくれた。結婚しよう……。ダメなら社内にも外部にも私たちの仲をオープンにするって。


私は、シュウちゃんが好きだ。
好きな気持ちを止められないのに、シュウちゃんと、この先ずっと一緒にいられないなんて考えられない。

でも、もし結婚出来ないなら、喧嘩している暇なんかない。シュウちゃんのそばにいられる時間を大切に使わないといけないんじゃないかって昨日から考えていた。

シュウちゃんを部屋に入れなかった昨日を後悔していたのだ。

本当にシュウちゃんと、この先もずっと一緒にいられるのだろうか?


カフェラテを飲みながら、シュウちゃんの方へ目を向ける。
すると、シュウちゃんが私の方を見ていた。そして、少しだけ口角を上げてみせた。

うわっ、シュウちゃんってば、笑いかけたりして。誰かが見てたらどうするのよ!

そう思いながらも、とても嬉しく感じていた。

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