出版社の少女マンガ部門に勤務していて、料理が上手で食卓には常に栄養バランスを考えて作られた彼の料理が並んでいる。

こんなにも朝早い時間に起きて散歩をしている。

本人いわく、くしゃみと目のかゆみが出てくると言う軽い猫アレルギーを持っている。

たったそれだけしか、あたしは朝比奈さんのことを知らない。

朝比奈さんがあたしのことを知る努力をするように、あたしも彼のことを知る努力をしたら距離が近くなるだろうか?

恋人から本当に夫婦になれるのだろうか?

そんなことを思っていたら、
「小春ちゃん、朝ご飯は何がいい?」

朝比奈さんが聞いてきた。

「いつも通りでいいですよ。

ああ、でもみそ汁の具は小松菜がいいですね」

そう答えたあたしに、
「わかった」

朝比奈さんは笑顔で答えてくれた。
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