箱庭センチメンタル

安らぎ





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彼は、不思議な人。


小さなことにも一喜一憂して、側にいると心地良い。


優しくてよく笑うけれど、私を見る目には時々、影が差す。



『お前は自分のことを信じてないんだな』


彼の言う通りだ。


自分のことを信じられないならば、私は何にも寄り添えない。




今までずっと、裏を持たない者はいないのだと言い聞かせてきた。


“疑心暗鬼”



私に関わった者は不幸になった。


私に優しくした者は、私の前からいなくなった。



その理由を私は知っていた。


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