あ甘い恋は、ふわっと美味しく召し上がれ
課長と出かけるとなれば、これまで行ったことない店。

しゃれたお店とか、変わった料理を出す店とか。
いろいろリサーチしてから行ってみたいと思った。

でも、今は、二人で楽しむために出かけるのではない。

いろいろ質問もしなくてはいけない。
だから、今は、そのことに集中した方がいい。


「この間のビアホールでいいか?」

季節も段々暖かくなって、ビールを飲むにはいい時期だ。

「はい」

課長は、いきなり切り出した。

「で?話って何?」

こんなふうにストレートに言われると、課長は期待して来てくれたわけじゃなく、純粋に仕事だけで来たってんだって思ってしまう。

「はい」

十分考えて来たのに。
どれから話をしようかってところまで考えたのに。
口から言葉になって出てこない。

「すみません。ちゃんと話しますから」
頭に浮かんでは消えていく感情を押さえながら、必死に整理しようとする。

でもだめだ。

私は、この人を前にすると何も考えられなくなってしまう。

私の頭に浮かんでくるのは、ただ、会いたかったっていう感情だけ。


「話なんて、どうでもいいさ。こうして一緒にいられるだけでいい」
思わず、優しい言葉をかけられると、嬉しくなる。
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