紫苑
第一章 出逢い

一目惚れ


時が過ぎた……

僕にはいつしか恋人が出来ていた

学生時代の知り合い。
偶然会い、何度か遊びに行き
付き合うようになっていた

しかし僕は彼女を本気で愛せなかった

僕の心の中にはまだ君がいたから…

君に出逢ってから、もう時間が経ち過ぎた。
なのに君を忘れられない

今でも君の事を想い続けている自分に気付いた


ある日、彼女は僕に別れを告げた

彼女は僕の気持ちに気付いていたのか…



その後、僕は雨の中歩いていた
気が付くと、君と出逢った公園にいた

そう、あの時の君と同じように…

そして僕はそっと瞳を閉じた



…目を開けた


そこに君がいた

夢じゃない
幻でもない

君はあの時と同じように僕に微笑みかける

僕は君に話しかけようとした

君は僕の口を塞いだ

君は去って行こうとする

僕は君に問いかけた


『君は誰なの?』



君は何も言わず少し悲しげな瞳で微笑み、僕に小さな紙切れを渡した

僕は紙切れに気をとられていた、

辺りを見渡すともう君の姿はどこにもなかった…



僕は君を抱き締める事が出来なかった

けれど君とキスをした

そして君から渡された小さな紙切れ


そこには「紫苑」と書いてあった


君の名前…?


僕は、それから「紫苑」という名前の人物を捜し、その名前に関係するものを調べた

そして心の中で「紫苑」と何度も呟いた…

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