陰にて光咲く



夢のような現実に言葉も出ない。


何も考えられない。


頭が混乱してる。



けど、目の前にいるのは間違いなくアズマだ…


アズマはいたずらっぽく笑う。


「何で固まってんの?」


「アズマ…帰ってきたのか」



現実を噛み締めるように言った。



アズマは少し大人びた雰囲気になっている。



けれど、あの頃と何一つ変わらない少年のような笑顔で言った。




「ただいま」





空に瞬く間に広がった星屑の下で。




暗い陰でも日向をつくってくれる光を、これからも探していくのだろう。



「おかえり」




ただ一つの光を求めて。





陰にて光咲く








END.







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