夜の甘やかな野望
予想外な言葉に、口に出して突っ込むのを忘れる。
「倫子さん決まった?」
「あ、
タジンランチにします」
「おごりなんだから、コースにしたら?」
「時間、無いと思いますが?」
「そうだね。
じゃあ、また今度にしよう」
何気なく次回につなげているような感じ。
でも、昼休みでコースを食べられる時間なんて、永遠に無いのだから、この答えは“次回は無い”ということなのだ。
用心を重ねて、舞い上がらないように。
こういう外見の相手には、気を引き締めて対応しないと。
もっともあまりにも違いすぎて、言語が通じるのが不思議なくらいだ。
外見だけでなく、育ちといい。
ピケティの著書に書いてあるのは、こういう格差のことなのだろうか。