夜の甘やかな野望


「一緒に。
 帰ろうね」


やわらかい口調なのに、有無を言わせない調子。


「ええと、そう・・・ですね」


倫子は気配に押されて、しどろもどろに返答し、医務室をあたふたと退散した。


全然、自分のペースをとれなかった。


ああ、もう、なんだかなあ。


こっぱずかしくってしょうがない。


恋人とかじゃなくて、体だけだから。


一緒に帰ろうねって、今夜はどうですか、っていうことだ。


甘い気分になっちゃいけない。


倫子は今度は違う暗示をかけようと、ぶつぶつ呟きながら事務室に戻った。
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