傷痕~想い出に変わるまで~
あれからずっと気にしてたのかな?

私と光が会ってるところを想像してイライラしてたとか…。

でもそんなこと聞きづらいから黙っておこう。

「昨日…びっくりさせて悪かったな。」

「え…?ああ…うん。」

急に昨日のことを言われると、抱きしめられたことや頬にキスされたことを思い出してドギマギしてしまう。

どんな顔をしていいのかわからず、慌ててうつむきコーヒーを飲み込んだ。

「あちっ!!」

ああ…またやってしまった…。

舌がヒリヒリする。

どうやらやけどしてしまったらしい。

自販機のコーヒーが熱過ぎるって文句言ってやらなきゃ。

「またかよ…。大丈夫か?」

門倉が笑いを堪えながら私の隣の椅子に座り、顔を覗き込んだ。

「だ、大丈夫…。」

顔を上げると門倉と至近距離で思いきり目が合った。

思いがけず見つめ合う格好になってしまい、目をそらすこともできず固まってしまう。

「…好きだ。」

「え…。」

何かを言う間もなく、私の唇に門倉の唇が重なった。

門倉は驚いてのけぞりそうになる私の頭を大きな手で引き寄せて、もう一度口付けた。

唇が優しく触れ合うだけの短いキスの後、門倉は私の頭をそっと撫でた。

「あいつなんかやめて俺にしろよ。大事にするし絶対後悔させないから。」

「……。」

急にそんなこと言われたって…。

何も答えられないままうつむくと、門倉は苦笑いを浮かべながら私の頭をポンポンと軽く叩いて立ち上がった。

「俺は本気だからな。」

門倉はそう言い残して喫煙室を出ていった。

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