傷痕~想い出に変わるまで~
「あ…これ早川さんが?」

「いえ、私じゃないです。」

一体誰のものだろう?

ブランケットをたたんでいると、端の方に“仮眠室”と書いてあることに気付いた。

昼食が済んで戻ってきた誰かが仮眠室からわざわざ持ってきてくれたのかな?

「ん…?」

デスクの上にコンビニ袋?

私はコンビニなんか行ってないけど…。

袋の中を覗くと、ツナマヨのおにぎりとタマゴサンド、ペットボトル入りの無糖のカフェオレが入っていた。

見事に私の好きなものばかりだ。

よく見るとその奥に紙切れが入っている。


【時間ある時に食え】


ぶっきらぼうなたった一言の走り書きは、見覚えのある門倉の文字だった。

ブランケットを仮眠室から借りて来て掛けてくれたのも、きっと門倉だろう。

……なんだよもう…。

眠れなかったのも昼食を食べそびれたのも門倉のせいなのに。

それにしてもお腹空いたな。

時計を見ると12時55分、あまりゆっくり味わっている暇はないけど、おにぎりを食べる時間くらいはありそうだ。

包みを外してツナマヨのおにぎりにかじりついた。

いつも一緒にコンビニで買い物しているわけでもないのに、私の好きなものばかり選んだのは偶然なのか、それとも私のことをそれだけよく見ているからなのか。

顔を合わせると憎まれ口ばかり叩くけど、門倉には光とは違う優しさがある。

さりげなく気を遣ってくれるんだ、門倉は。

私にとってそれが当たり前になりすぎていたから、これまで深く考えたことはなかったけど。

心地いいって…たった今、気付いた。



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