傷痕~想い出に変わるまで~
「おい篠宮、寝ぼけてんのか?」

門倉に肩を掴まれ体を揺すられて、私は今何を言っていたんだろうと首をかしげた。

「報告書はワンタン麺でいいんだっけ?」

「はぁ?やっぱ寝ぼけてんな。おまえここ座れ。」

門倉に手を引かれ座席に座らされた。

私の隣に門倉も座る。

「無理やりついてきて良かったわ。着くまで寝てろ、起こしてやるから。」

「いや、それはちょっと…。」

確かに眠くて死にそうだけど、寝顔を見られるのは恥ずかしいんだってば。

「つべこべ言うな。」

門倉は強引に私の頭を引き寄せて自分の肩にもたせかけた。

「こうしてりゃ寝顔も見えん。安心して寝てろ、バカ。」

「バカって言う方がバカなんだからね。」

「はいはい、おまえのためならいくらでもバカになってやるよ。」

ホントに強引だな、門倉は…。

口は悪いし意地悪だけど…優しくて…あったかい。

体に伝わってくる門倉の鼓動と体温があまりにも心地よくて、目を閉じるとあっという間に眠りに落ちた。



優しい手が私の肩を抱き寄せて長い髪を撫でた。


“瑞希、大好きだよ”


私たちはお互いの目を見つめて微笑み合う。

この先もずっとずっと、誰よりもそばにいられるようにしっかり手を繋いだ。

繋いだ手を引き寄せてそっと重ねた唇がゆっくりと離れた後、照れくさそうに呟いた。


“ずっと一緒にいような”


“約束だからね”


ギュッと抱きしめ合ってお互いの名前を呼んで、触れ合う肌の温もりを確かめた。


“瑞希…愛してる”




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