傷痕~想い出に変わるまで~
食事の後は一緒にキッチンで洗い物をして、入浴を済ませてから二人でお酒を飲んだ。

昔みたいに缶チューハイの1本や2本で酔ったりしない。

光は思っていた以上に私がお酒に強くなったことに驚いていた。

今の仕事のこととか好きな食べ物の話とか、他愛ないことを遅い時間までお酒を飲みながら話した。


その夜も私たちはベッドで抱き合った。

別れる前からこの間の夜まで何年も触れ合っていなかったから私が忘れてしまっただけなのか、それとも実際に変わってしまったのか。

光って昔もこんな風に私を抱いていたかな?

…そうか。

光としか経験のない私と違って、光は他の人たちとも何度も関係を持っているんだ。

私が聞いたのは二人だけだったけど、実際はもっとたくさんの人としていたのかも知れない。

きっと今は私だけなんだと信じてるけど。

好きじゃない人とでも体だけの関係を持つことができたんだよね、光は。

実際のところ、私以外に一体何人くらいの人と関係を持ったんだろうとか。

昔はこんなことしなかったなとか、一番最近別の人を抱いたのはいつだろうとか。

その気になれば私も好きじゃない人とでもできるものなのかなとか。

光に抱かれながら、そんなことばかりが頭の中を巡った。

「瑞希、大丈夫?つらい?」

よほど私が上の空だったのか、それともあまり良くなさそうだと思ったのか、光は途中で手を止めて私の顔を覗き込んだ。

…しまった。

いくらなんでも失礼だろう。

「大丈夫…。久しぶりだしまだ慣れなくてちょっとね…。」

< 177 / 244 >

この作品をシェア

pagetop