傷痕~想い出に変わるまで~
光のお墓の前に背の高い後ろ姿を見付けた。

久しぶりに見るその姿は紛れもなく門倉だった。

ゆっくりと近付くと、門倉は手もあわせず何かを語りかけるような目で光のお墓と対峙していた。

「お墓の前なんだから手くらいあわせたら?」

門倉は少し驚いたように私の声に振り返る。

「なんだ、いたのか。」

「今来た。」

門倉の隣に立って光のお墓に手をあわせた。

「今日が3回忌だったんだってな。」

「うん。さっき終わった。門倉は?」

「小塚さんから連絡もらってな。なんとか都合ついたから寄ってみた。」

「ここに来る前に光の実家に寄ったんだって?お母さんから聞いたよ。」

風が吹いて私の長い髪がなびいた。

辺りの木がざわざわと葉を揺らす。

「一応けじめとしてな。そろそろ篠宮を俺に任せてくれって、こいつに言いに来たんだよ。」

「…忘れてたんじゃなかったの?」

「忘れるか、バカ。そろそろ行くぞ。」

駅までの道のりを並んで歩いた。

門倉と会うのは今年のお正月以来だ。

「ずっと忙しかったの?」

「ああ。盆休み返上するくらいな。おまえは?」

「相変わらず。」

交わす会話は以前より言葉少なく感じる。

門倉が隣にいることがなんだか不思議だ。

駅の自動券売機の前で門倉は運賃表を見上げた。

「おまえいくらの切符買うんだ?」

「420円。門倉は?」

「とりあえず420円だな。」

とりあえずってなんだ?


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