俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~


それに、美月が、“中学の修学旅行では、いい思い出がひとつもない”って言ってたから、この修学旅行ではどうしても最高の思い出を作ってやりたいんだよね。


その思い出の中でも、美月のとなりにはいつも俺がいたい。



「あ、あたしUNO!」



ラスト一枚のカードになった菜乃花ちゃんが嬉しそうに言う。



「マジで?俺もUNO」



菜乃花ちゃんのことを目を細めながらほほえむ要。



「うわ、俺、ビリかよぉおおお~~」


「ハハハッ、タケルらしー!」



ビリになったタケルにそう言って笑うと、



「二回戦目やるぞ!次こそは絶対一番にあがってやる~!」



って、悔しそうに意気込んでる。


けど、ゲーム効果ってやっぱ偉大。


盛り上がるから自然とみんな笑顔になってるし、確実に仲が深まってる。


人見知りな性格の菜乃花ちゃんも、ゲームを通して口数も増えてるし、要との会話も増えてる。


タケルと愛美ちゃんも、すっかり前のように戻ってるし。


美月も笑顔になってる。


けど、だからって、美月と愛美ちゃんの関係までどうにかなるはずはないんだけど……。


俺を挟んで座ってるのもあって、ふたりが会話を交わすこともないしな。


つーか、ゲームに夢中で本人も無意識だとは思うんだけど、さっきからずっと愛美ちゃんの体が俺にくっついてるっていうか、俺の肘に愛美ちゃんの胸があたってんだけど……。
















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