俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
お父さんたちのことを思い出したら、急にさみしくなってきちゃった……。
「美月、どした?」
フォークでスパゲッティをくるくると巻きながら、目線だけ私の方に向ける大地。
「何が?」
「なんか、暗いじゃん」
「そんなことないけど?」
平気なフリして、強がる私。
「……そんなに嫌?俺と暮らすの」
すると、大地がまっすぐに私を見つめてきた。
大地の睫毛、私より長くてうらやましい……。
私にはない涙袋まであるし。
悔しいくらい肌もキレイだし。
「美月、聞いてんの」
「……聞こえてる」
「嫌なら、なんで断らなかったんだよ」
大地は私が答えないから、同居の話を嫌だと思ってるみたいだ。
でも、私は嫌だったわけじゃない。
同居の話を断らなかったのは、大地と離れたくなかったからだもん。
「……未成年の私には、最初から拒否権なんてないも同然だから、抵抗しても無駄だと思っただけ」
「……そっか、」
大地の乾いた笑いが聞こえてた。
それを見て、胸がズキンと痛んだ。