俺にだけは、素直になれよ。~幼なじみとヒミツの同居~
あれから、結局、放課後になっても美月が教室に戻ってくることはなかった。
心配で昼休みに保健室に行ったときも、美月は眠ったままで。
担任が、美月の迎えを家族の人に頼むって言っていたけど、今、美月の家にはもちろん誰もいるはずがなく。
「美月とは近所だから、俺が送っていく」と担任を説得したところだった。
「悪い、要。俺、今日の部活休むわ」
サッカー部に入部した俺は、放課後は毎日部活の練習がある。
要は、同じサッカー部で、最近仲良くなったタケルと要は小学校からの親友らしく、気付けば3人でいることが多くなっていた俺ら。
「あぁ、美月ちゃんを送っていってやるんだろ?部長には俺がうまいこと言っておくから心配すんなよ」
要は、成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗、その上、こんな風に気の利くいいヤツだ。
「サンキュ、要」
「礼なんかいいから、早く美月ちゃんのとこ行ってやれば?」
「おう、そうするわ。じゃ、また明日な!」
俺は要に別れを告げると、美月と自分の分の鞄を持ち、教室を飛び出した。