煙草

夢のあのひと




「いーなあそんなんならあたしも寝てればよかった!」
「じゃあゆっこ行きなよ・・・・あたしいいから・・・」
「やだよー!今日は彼と会う約束してんのー」

昼食のメロンパンのふくろをびりっとやぶってゆっこがいう。自己紹介が遅れたけど、あたしの名前は野木春華。東西森林高校の3年生です。で、こっちのあたしがゆっこって呼んでる方が平山優子。いい子なんだけど男運悪いっていうか、いい恋愛してない。いっつも気がついたら泥沼で、最近はどっかのホストにはまっちゃってるらしい。え、先生好きだったんじゃないの?って言ったら先生は別らしい。何だそれ。

「でもあの人誰だったんだろ・・・」
「誰って、だれが」
「わかんないけど、多分初恋の人?夢にでてきちゃった」
「・・・・痛っ」
「おまえな」

痛いことぐらいわかってるけど、なんかあの夢がただの夢とはおもえなくって今さっきからすっごく気になってる。でもこれがマジだったら素敵だよね。小さいころに交わした約束!んで、感動の再会!深まる愛!きゃああああ少女漫画みたいじゃん!

「おーい。帰ってこーい」
「(きらきらきらきらきら)」
「・・・・」

キーンコーンカーンコーン、あたしのピンク色の妄想を遮るようにチャイムが鳴った。あーもう昼休み終わりかあ、しかも次ハゲ丸の授業じゃん。やってらんない。




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