鬼上司は秘密の恋人!?
一緒に寝るって、石月さんと私が?
「お前ひとりで寝てたから、そんな夢みたんだろ? こっちで一緒に寝るぞ」
そう言って、からりと襖を開け放つ。
そこには部屋の真ん中に布団が二組敷かれ、真ん中で祐一が両手両足を広げた大の字でクゥクゥ寝ていた。
その、のん気な寝顔に思わず肩の力が抜ける。
脱力する私に、石月さんがもう一度手を差し出した。
「ほら」
急かされて、慌てて手を取る。乱暴に手を引かれ立ち上がった。
祐一を挟んで石月さんと私。三人並んで布団に入る。
すぐ布団を蹴飛ばしてしまう祐一に苦笑いしながら、薄暗い部屋の天井を見上げる。
「眠れそうか?」
そう聞かれ素直に頷くと、石月さんが小さく笑う気配がした。
「石月さん……」
「ん?」
好きです、と言ってしまいたくなったけど、必死にこらえて「おやすみなさい」とだけ言った。
「ん。おやすみ」
その声を聞きながら、布団の中でぎゅっと目を閉じる。
好きですと言ってしまえば、石月さんはきっと迷惑がるに決まってる。
だから、決してこの気持を悟られてはいけないんだ。